「……絢斗くん」
隣にいる綺麗な横顔を見つめる。
私の見る絢斗くんは、横顔ばっかりだ。
私を見ない、左側から見る顔ばっかり。
きみの、吸い込まれそうな綺麗な瞳が好きなのに。
だけど横顔すらも大好きなんだから、惚れたほうが負けだ。
「なに」
テレビを見ていた顔が、ゆっくり私の方を向く。この瞬間が、好き。
「最近、キスしてない」
「そうだっけ」
「そう、だよ」
「だから?」
意地悪だ。冷たい目で見るから、きゅっと肩を委縮させる。わかってるくせに聞かないでよ。
「……だから、した、い」
消え入りそうな声で答えたら、へえ、なんて興味のなさそうな声が返ってくる。
勇気出して言ったのに、そんな冷たい態度とらないで。