「お邪魔します……!」



あれから1時間後。


もちろん絢斗くんと帰る時間はずらして、こっそりと彼のマンションに入る。


ガチャンと鍵を開けた絢斗くんは、私を見る前にもうリビングに戻ろうとしている。


こういう時、少しだけ寂しくなるの、わがままかな。


私のことちょっとくらい見てくれてもいいのになって思うけど。でもあれだけ可愛い女の子に囲まれているんだから、わざわざ私の顔なんて見ないか、なんて卑屈な考え方に落ち着く。



「あ……今日もご飯、作っていい?」

「うん、腹減った」



少し嬉しそうな表情に安心しながらも、キッチンを借りる。


このキッチン、私以外の女の子も使ってるのかな。

私じゃない女の子のご飯も、食べてるのかな。


そんな意地の悪いことを考えてしまって、思わず首を振る。


今日、私を呼んでくれた。それだけで十分なはずだ。