手に持ったミルクティーにぎゅっと力を込めて、泣きそうな瞳に気付かないふりをして。


ちゃんと笑顔で悠里ちゃんのところに戻った。




「あ、もう乙葉遅いよ!今ね、絢斗くんと紗英ちゃんがペアで撮ってるの!お似合いすぎて目の保養だよ~!こう見ると絢斗くんって本当に芸能人なんだね」


「あはは……本当だ」




悠里ちゃんは私が絢斗くんと付き合っているなんて、きっと想像もしないだろう。


ここにいる誰もそんなこと思わないし、言っても信じないだろう。


そのくらい私と絢斗くんは別世界の人間だ。

紗英さんは、絢斗くんと同じ世界にいる。



その中に私は絶対に入れなくて、きっと絢斗くんの未来に私はいなくて。


そう思ったら、少しでも長く絢斗くんのそばにいられるように、誤魔化して、いい子にして、笑っていないといけないよね。