「──おい」
「……えっこの表情は可愛い」
「おい、乙葉」
絢斗くんの声に顔を上げた、瞬間。
「っ!?」
ちゅ、と音を立てて触れた唇が、すぐに離れて、それからまた触れて。
「──本物がいるんだから、雑誌ばっか見んなよ」
「え、」
驚いたのもつかの間、もう一度塞がれる唇。
不意打ちはやめてほしい。頭の中真っ白になって、何も考えられなくなってしまうから。
「……乙葉、同じように応えて」
少し掠れた絢斗くんの声が、脳内を甘く溶かす。操られるように、言われたとおりに口を開けて、舌を差し出す。
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