「ちょ、ちょっと待って」 「言えよ、言いたいことあんだろ」 「……さ、紗英さんのこと、好きにならないでね」 私が呟くと、絢斗くんは返事をしないまま私の瞼にキスを落とす。 驚いて、ぴくりと体が揺れる。 「あとは?」 「……私だけ、好きになってほしい」 「あとは」 「もうわかんな……っ」 瞼に、額に、頬に、鼻先に。 くすぐったいキスを落とす絢斗くんに、頭がふわふわしている。