「優しい人がタイプってのは?」
「あれは……」
優しい人はいいと思うけど、タイプと言われるとよくわからない。
だって好きになったのは絢斗くんが初めてだし、しいて言うならタイプは絢斗くんなのかもしれないけれど。
「俺とは全然違うね」
「……絢斗くんは優しいよ」
「優しくねーだろ」
「優しいもん……」
「いーって、そういうの」
違うのに、本当なのに。
なのにどうして私の話も聞かないで、どうでもいいみたいな顔するの。
「つーかお前、北野にも俺たちが付き合ってること言ってねーの?」
「え……悠里ちゃん?言ってもいいの?」
驚いて聞き返せば、絢斗くんはシュークリームに手を伸ばしながら答える。
「いーよ、本当に仲いい奴くらいには」
え、言ってもいいの?
絢斗くんが付き合ってることは誰にも言うなって言ったから、悠里ちゃんにもだめなのかと思っていた。