いつか、絢斗くんにとって私は何人もいた彼女の中の1人になってしまうのかもしれないけれど、私にとって絢斗くんは初めての好きな人で。
それは一生変わらない事実で、私たちの間のそういう温度差が時々悲しくなる。
「……お前さ、前の学校で何があったの」
絢斗くんの言葉に、ドクンと心臓が鳴る。
胸の奥から真っ黒なもやもやが広がって、途端に息が苦しくなる。
「なに、って」
震えた声は、何かあったって言っているようなもので。
絢斗くんは動揺する私をじっと見つめて、言葉を待っている。
……ああ、今日は何もなかったふりしてくれないんだ。