「……なに、これじゃ不満なの?」
絢斗くんは面倒くさそうに眉をひそめて、やっとスマホから顔を上げる。
……今日、初めて目が合った。
「不満、っていうか」
そういうわけじゃない。
こんなすごい人が、普通の高校生である私なんかと付き合ってくれてるだけですごいことだってわかってる。
これ以上を望むのは欲張りだってことも、わかってるけど……。
学校でも、家でも冷たくて。
たまに家に呼んでくれること以外は、他のクラスメイトと何も変わらないような関係で。
それって、付き合ってるって言っていいのかな。
どうして絢斗くんは、私と付き合ってくれたの……?
私のこと好きだなんて、思えないのに。