「パスタ、食べたくない?」
「食べたくない」
それ以上何も言えなくて、ちょこんと絢斗くんの隣に座る。
絢斗くんは何も言わないまま、表情すら変えないまま、スマホでゲームをしている。
……せっかく来たのに、こっち向いてくれてもいいのに。パスタくらい、食べに行ってくれてもいいのに。
「……たまには、どこか出かけない?」
付き合い始めてから……というか、私の告白に絢斗くんがかろうじて頷いてくれた日から、半年弱。
会うのは毎回絢斗くんの家で、学校ではほとんど会話しなくて。1回もデートらしいデートをしたことないなんて、おかしいよね?