丸い月が出た夜。

焼かれた森が火花を散らしてパチパチと音を立て何本もの木が焦がれて倒れていく。


火は紅くとも黒い炎が辺りを燃やし尽くす。

何百もの家は火で真っ黒になり原型を留めずに灰になる。


子も女も首を斬られそこら中に散らばる血、鼻につくような死体が焼けた臭い。

決まって首だった。


この風景は見覚えがある。
この懐かしい感じはなんだろう。


キール村だった。

1人たたずむ女性。
すごく背が高く、スラッとしていて力強く胸を張りただどこか悲しげにも思える。
黒ずくめでフードを被ってて顔が見えない。
赤く長い髪が熱風で揺らめきギラギラとした目でこちらを見ている。


両目が赤く光り、そして涙を流している。


クロエ
「ねぇ、泣かないで?」



黒ずくめの女性は言葉を発した。


「..........全てを破壊する....復讐だ。」