高校に入学しても俺は、相変わらず好きな人に話しかける事ができなかった。

 どうでもいい女子からは言い寄られたりすんのに、本当に好きな人からは振り向いても貰えない。それどころか、俺なんてきっと眼中にない。

 俺がどれだけあの人を見ていても、その視線が交わることは無い。

 それがどうしようもなく辛かった。

 まるで、手の届かない星みたいで……。



 だからあの時……チンピラに連れ出されるあの人を見て、チャンスを逃したくなかった。