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あれから俺はメイドさんにお礼を言おうと店の前に立っては結局入れず後悔する。そんな毎日を繰り返していた。
顔を合わせるのも難しい程に人を好きになるのなんて初めてだから、俺は戸惑っていた。
そんな俺に偶然、神様からの恵みがやって来た。
「あの、落としましたよ……」
入試の日、後ろから声をかけられて振り向く。
「…………ッ! あ、あざっ、す……」
そこに居たのは、大好きなあの人だった。
あんなに会いたくて、あの時のお礼を言いたくて……焦がれていたのに、いざ目の前にしたら話したい事も言いたい事も全部吹っ飛んでしまう。
結局俺は、カタコトなお礼だけ言って、逃げるようにその場を去ることしか出来なかった。