陽菜ちゃんは微かに頬が赤く染まっていて、呼吸も荒かった

手のひらを陽菜ちゃんの額に当てると、めちゃくちゃ暑い

熱めっちゃ高いな・・・


ペタ


念の為買ってきておいた熱さまシートを陽菜ちゃんの額に貼り付けると

冷たさに軽く眉を寄せた


うん、可愛いな






んー・・・あんま長居するわけにはいかないな

起きそうにないし、買ったものだけ置いて帰るか


サラ、と陽菜ちゃんの頭を1度撫で、部屋にある小さなテーブルにゼリーとヨーグルトを置いて

鞄から取り出した小さな紙切れに軽いメッセージを書く


・・・さて、帰るか

鞄を掴んで外に出ようとすると


「・・・み、うら・・・せんぱ・・・」


と、陽菜ちゃんの小さな声が聞こえて振り返る

陽菜ちゃんは相変わらず眠っていて

寝言か・・・?







・・・俺の、夢でも見てんのかな

そうだとしたらめちゃくちゃ嬉しいな


「・・・可愛い」

風邪で苦しんでるときにこんなこと言っちゃいけないんだけど

可愛いな


「・・・お大事に」


俺はそう言って、軽く陽菜ちゃんの額に口付けして陽向の家を後にした











『・・・お大事に』


三浦先輩の声・・・?

夢かなぁ


夢でも三浦先輩の声を聞けるなんて嬉しいなぁ・・・


そう思ったとき、パチ、と目が開いた

あ、れ・・・私寝てたんだ・・・


時間は・・・えっ、もう16時・・・!

私こんなに寝てたの・・・!?


バサッ、と布団から飛び起きると、額に何か違和感を感じ、そこに触れると

何かが貼り付けられていた






あれ・・・熱さまシート・・・

私つけてたっけ・・・


すると、テーブルにみかんゼリーとヨーグルトが置いてあるのに気付く

その横に、小さな紙切れがあって



『お見舞いに来たけど、ぐっすり寝てるようだから帰ります
お大事に

雪』


み、三浦先輩・・・!?

三浦先輩来てたの・・・!?






スマホにも三浦先輩からのメッセージが入ってて

お見舞いに来てくれたんだ・・・

受験勉強で忙しいはずなのに

少しお話したかったな・・・



「陽菜ー?」


カチャン、という音と共に部屋に入ってきたのはお兄ちゃんで、「熱はどうだ?」と


あ、そういえば熱だいぶ良くなったかも・・・


「1回測ってみな」

と、お兄ちゃんに体温計を受け取り、脇に挟む


20秒ほどでピピッと小さな機械音があり、体温計を抜き取ると







『37.5』

と表示されていた

あっ、結構下がってる・・・!


「だいぶ下がったな
お粥作ったけど食べれるか?」


体温計を見たお兄ちゃんはそう言って、小さく頷く

「持ってくる」と言ってお兄ちゃんは1度部屋から出ていった


お兄ちゃん、実は普通に料理出来るんだよね・・・一応いつもは私が料理担当なんだけど


カチャン、という音と共にお兄ちゃんがお盆に小さなお鍋を乗せて部屋に入ってきた


「暑いぞ」

「お、お兄ちゃんっ・・・1人で食べられるよ」


ベッド脇に座ったお兄ちゃんはお粥をよそったスプーンを私の口元に持ってきていて


「ダメだ!風邪引いてるんだから甘えろ」


と。






お兄ちゃんの過保護具合は風邪を引くとより一層悪化していて

何言っても無駄・・・と判断した私は、そのスプーンを咥えた


「ん・・・おいひい」

あつあつの卵粥

流石お兄ちゃんだなぁ


──────


「ご馳走様でした」

「ん、お粗末さま」


お粥を食べ終わった私を、お兄ちゃんはぽんぽん、と頭を撫でる

小さい頃から何か頑張ったときとか、お兄ちゃんは私の頭を撫でてくれる


あっ、そうだ


「お兄ちゃんっ・・・三浦先輩っていつ来たの?」

「あー・・・俺帰ってきたときはもう居なかったよ」





「俺委員会だったからさ」と。

入れ違いだったんだ・・・

LINEでお礼入れておこう


「ほら、まだ完全に熱下がってないんだし、ちゃんと寝ろよ」


そう言って、ぽん、ともう一度私の頭を撫でてからお盆と空っぽになったお鍋を持って部屋から出て行った


三浦先輩に『お見舞いありがとうございました』とだけメッセージを送り

再びベッドに寝転がると

直ぐに夢の中へと飛び込んでいった