「歌鈴大丈夫か?」
「っ、うん! 蓮くん……ありがとう。授業あるのに、こんなことさせてごめんね……」
いつかのクリスマスパーティーの夜みたいに、蓮くんが私の手を繋いでくれる。
「歌鈴が無事なら授業なんてどうだっていいよ」
不意に見せられた蓮くんの笑みに、張り詰めていた緊張の糸が切れて、身体の力が抜けた。
「なんか悪いね?」
「へ?」
部屋の出口に向かっていると、理人先輩が笑った気配がする。
「今歌鈴ちゃんはそいつの家で花嫁修業してるんだよね?」
「……なっ、なんで、それを」
バレないようにしていたつもりなのに……。