人がある程度減ってから、奈緒ちゃんの家に向かう


友達の家にお泊まりなんて、実は初めてで少し緊張してる


着替えなんかは荷物になるからと、奈緒ちゃんの家にあるものを貸してもらうことになっていた


「ここだよ、うち
そんでそっちが樹たちの家」


住宅街に入って少し歩いたところで、奈緒ちゃんが立ち止まった


「わ、ほんとに近いっていうか…真向かいなんだね?」


「そうそう。奈緒んとこの兄妹喧嘩とか、全部聞こえる」


そういえば奈緒ちゃんにはお兄さんがいるんだっけ


「最近ほとんど帰ってこないけどね。大学で彼女できて浮かれてんの。」


「通りで静かなわけだ」


「そんなにしょっちゅう喧嘩してないじゃん!てか樹、明日も部活あるんでしょ。早く帰って寝なよ」


「んじゃ、おやすみ」「おやすみー」


奈緒ちゃんの言葉で、お互い手を振って背を向ける


「おじゃまします…!」


「どうぞー、そんな緊張しなくていいよ」


奈緒ちゃんのご両親にあいさつをして、部屋にあがらせてもらう


「可愛い…!!」


ライトウッド基調の家具に、ベットの上にはぬいぐるみがたくさんいる


「それね、クレーンゲームやってたらどんどん増えちゃって」


「得意なの?すごいね」


「いやいや、兄貴にゲーセンばっか連れて行かれてたからね」


足で器用にぬいぐるみたちを避けながら、荷物をおけるスペースを空けてくれる