取り出してみると、奈緒ちゃんから「ごめん!人がすごくて戻れそうにない…花火終わってから合流しよう」というメッセージと、必死に謝るネコのスタンプが送られてきていた
悠生くんの方にも樹くんから同じようなメッセージが届いていたみたい
「分かった、気にしないで!また後でね」と返事をしてスマホをしまう
奈緒ちゃんと一緒に見たかったけど、この人混みなら仕方ないよね
…てことは、このまま悠生くんと2人きり?
気付いた途端、繋がれた手に意識がいってしまう
やっと少し慣れてきてたのに…花火どころじゃなくなってしまった
ちらりと悠生くんの方を見ると、全然気にしてないみたいで普通に花火を楽しんでいる
キラキラした目で花火が上がる度に歓声を上げているのがなんだか可愛い
「何?どうかした?」
「あ、ううんっ」
視線に気付かれて、悠生くんがこっちを向いたので慌てて首を振る
「そっち、見えにくくない?こっち来いよ」
悠生くんの方を見ていたのを、花火が見えにくかったからだと思われてしまったようで、手を引いて悠生くんの前に立たせてくれる
「悠生くんが見えづらくならない?」
「俺は平気。ほら見て、めっちゃ綺麗」
前に来たせいで手は離れてしまったけど、今度は背中に悠生くんがいて落ち着かない
指さされるままに上に目を向けるけど全然集中できないよ…
絶妙な身長差のせいで、悠生くんが喋るたびに耳元で囁かれているようでくすぐったい
花火で照らされる私の顔が赤いことに、どうか気付かれませんように…