さっきまでは何ともなかったのに、悠生くんと二人きりになったとたん、少し恥ずかしい


いまだに手は繋がれたままだ


もう人混みからは離れたし、繋いでいなくてもいいと思うんだけど、何となく言いづらくてそのまま


それに、迷子防止とはいえ、せっかく繋げたのに離してしまうのは少し惜しい…なんて、そんなことを思っている自分に驚いた


結局手はそのまま、課題の進捗やこの後の夏休みの予定なんかを話していると、花火の時間が近づいてきて、少しずつ辺りに人が増えていく


だけど、奈緒ちゃんと樹くんがなかなか帰ってこない


「奈緒ちゃんたち、遅いね…迷ってないかな?」


いくら地元でも、それなりに広い会場だから戻って来れなくなってるのかもしれない


「大丈夫だろ。何かあったらたぶん連絡してくるよ」


心配になって、探しに行こうかと立ち上がった私の手を引いて、悠生くんが止めてくれる


それもそうか…
それに、今ここから離れたら、それこそ花火が始まるまでに戻って来られる気がしない


一応、奈緒ちゃんにメッセージだけ入れておこうかな


だけど返事がないまま、周りにはどんどん人が増え、いよいよ花火が始まってしまった


さすがに本当に探しに行った方が良いかも、と思った矢先、私と悠生くんのスマホがほとんど同時に鳴る