「ほら、行こ。置いてかれる」


繋いだ手を引かれ、奈緒ちゃんたちに追いつくと、人を掻き分けて屋台を回る


奈緒ちゃんと樹くんは気付いてないのか、悠生くんと手を繋いでいることは何も言われない


さっき、樹くんも奈緒ちゃんの手を引いたりしてたし、この3人の中じゃ当たり前なのかも


だけどそのせいで手を離すタイミングを失ってしまった
もしかして、今日はずっとこのまま?


そんなことを考えてはさらに顔が熱くなり、心臓が落ち着く気配もないまま、たくさん並ぶ屋台から、各々好きなものを買って、人混みから離れた土手に座った


花火の時間まではまだ余裕があって、座っている人はまばらだ


私はいちご飴と鈴カステラ。奈緒ちゃんはりんご飴とやきそば。悠生くんと樹くんはやきそばとかき氷を2人で分けて食べていた


本当に仲良しだなぁ


みんなで他愛もない話をしながら、花火が始まるまでの時間を潰す


「あれ?奈緒じゃん!
小林くんもいる。おーい」


少し離れた場所から奈緒ちゃんと双子を呼ぶ声がした


「バスケ部の子達だ」


呼ばれていたのは樹くんの方だったみたい


手を振り返しながら「ちょっと行って来てもいい?」とこちらを伺う奈緒ちゃんを送り出す


樹くんも腕を引かれて連れていかれてしまった