駅と病院は徒歩10分程の距離なので、すぐに着いてしまった
「じゃあまた、暇な時にでも連絡する」
「あ、うん。気をつけて帰ってね」
「そっちこそ」
悠生くんはスマホを持った手を緩く振って、来た道を戻っていく
何も言わず駅の方へ歩いていたから、てっきり悠生くんの家もこっち方面なんだと思ったんだけど違ったのかな…?
もしかして、わざわざ送ってくれたんだろうか
それならお礼言わなくちゃ…!
「ありがとうっ」
すでに少し離れていた背中に向かって叫ぶように伝えると、驚いたように振り返って笑顔で応えてくれる
手元のスマホが震え、画面には悠生という表示と「楽しかった」の文字
慌ててもう一度顔を上げると、彼の姿は大分遠ざかってしまっていた
踵を返して改札を抜けてから「私も楽しかった!ありがとう」と返信をして、タイミング良く滑り込んできた電車に乗って家路に着いた