そんな事ないのに


むしろ一人一人のことをちゃんと見て、変化に気付ける悠生くんの方がすごいと思う


だけど、褒められるのは嬉しくて、純粋にすごいと言ってくれている悠生くんの言葉を否定するのは違う気がして、「ありがとう」とお礼を言った


そうして時計の針が15:45を指した頃
いつもの通り各々の病室へと戻っていく子供たちを見送った


そして今


私はなぜか悠生くんと一緒に駅に向かって歩いていた


なぜか、というのも、私たちが同級生と知ったボランティア仲間さんたちに意味深な笑顔で送り出されてしまったからなんだけど


いまさら戻るにも戻れないし…


「なんか神原さんがボランティアって意外だったな」


微妙な沈黙の中、少しの気まずさを感じつつ歩みを進めていると、ぐいっと伸びをした悠生くんが突然つぶやく


「学校とかでも、そんな積極的な方じゃないじゃん?」


「そう、だね」


まさにその通りで、いまさらそれを否定するつもりもない


ボランティアだってお母さんの声がなかったらきっとやってないと思う