「行ってきます」
夏休みに入り、順当に課題をこなし、たまに奈緒ちゃんの補習に合わせて学校に行き、隣で自習をしたりしながら毎日を過ごす
今日はボランティアの日だ
学校に行くのとは反対方面の電車でひと駅
これにももうだいぶ慣れた
「あっ、咲ちゃんだー!」
子供たちの集まるプレイルームへ足を踏み入れた途端、見慣れた数人の子が寄って来てくれる
病院は想像以上に入れ替わりの激しい場所だ
早い子は1週間も留まらずに退院していく
だけど長期入院の子も少数はいて、その子たちとはもう顔見知りになった
「今日はユウくんもいるから、たくさん遊んでもらえるね!」
「ユウくん?」
誰か新しい子でも入ったのかな?
仲良くできるといいなぁ
「ユウくん、咲ちゃん来たよーっ」
「はじめまして、」
「神原咲です、よろしくお願いします」と続けるはずだった言葉は、予想外の状況に消え去った