「え!?そんな、悪いよ」
拗ねてるのバレてた…?
「俺がこんなん持ってても何にもならないし、なんか神原さんみたいで可愛いじゃん。小さくて、コロコロしてて」
可愛いって…!
「悠生、コロコロは失礼だろ」
言われ慣れない言葉に戸惑っていると、最後の微調整をしていた樹くんが視線を手元に注いだまま助けてくれる
だけどそうじゃない!
いや、コロコロしてるっていうのは太ってるってこと…?だったらちょっとショックかも…
「悪い意味じゃないって!可愛いってこと!〜っ、とにかく、はい」
慌てたように言い返した悠生くんが、投げやり気味にとんぼ玉を机に置く
再び放たれた「可愛い」という単語に、私はきっと耳まで真っ赤だ
「…ありがとう」
消え入るような声でお礼を言ってそれを受け取る
「じゃあ、俺のは奈緒にやるよ」
出来上がったとんぼ玉を冷ます工程に入っていた樹くんがふと思いついたように声を上げる
「それなら、あたしのは樹にあげる。2個もいらないし」