ゴールに着くと、先に着いた子達と話していた悠生くんがこちらに向かって手を振ってくる


「おつかれー」


「サボってたくせに、何がおつかれよ」


みんなが思ったであろうセリフを奈緒ちゃんが言って、悠生くんの頭を軽く小突(こづ)


「まぁまぁ、ほら、これやるから」


そう言って悠生くんが私たちに渡してくれたのはパックのフルーツジュース


「え、いいの?ありがとう」


素直にお礼を言って受け取ると


「咲、騙されないで
これ向こうで先生がみんなに配ってるやつだから」


少し先の人集(ひとだか)りを指さした奈緒ちゃんが、数十分前のナツちゃんと同じような呆れ顔で教えてくれた


「次のカレー作りではめちゃくちゃ働いてもらうからね」


そして悠生くんに向き直ると、ジュースを受け取り、ストローをさしながら少しだけ怒ったように続ける


だけど本当はそんなに怒ってないと思う


奈緒ちゃんはなんだかんだで優しいし、面倒見がいいから