「それはいつから?」


地元の最寄り駅で電車を降り、家へと繋がる道でようやく口を開けた


「分からない」


「林間学校は?行けるの?」


「どうかな」


樹の口から(つむ)がれるのは冷淡な言葉ばかりだけど、これが現実だ


状況は刻一刻と変化している


樹だって、この現実をまだ完全には受け入れられてないんだと思う


そう思っていたのに


「だけど、父さんにも母さんにも、先生にも、病院にも、できる限りの説得はするつもりだから」


そうだった


現実が変わらないなら、その分あたし達が対応していけばいいだけだ


「あたしにも出来ることがあったら言って。何でもするから」


「奈緒はすぐ顔に出るからな」


暗い空気を変えるように、いつものからかい口調であおられる