「何かあった?」


ここまで来て、ようやく樹が口を開いた


「学校に通えなくなるかもしれないらしい」


しばらく黙って考え、やっと彼の口から出たのは想像もしていない答えだった


今度はあたしの方が何も言えなくなってしまう


「「これからは満足に学校に通えなくなることが増えるかもしれない」って言われたんだって」


少し間を開けて続けられた樹の言葉


分かってた


いつかはそんな日が来るのだろうと思っていた


だけどまだ、高校に入ったばかりなのに


これからたくさん楽しいことが待っているはずなのに


ぐるぐるとそんな考えに頭を占領されているうちに、駅に着く


帰路に着く人達でごった返したホーム内ではどちらともなく黙っていた