あたしが引いたのは19番


席は…真ん中の列の後ろから2番目


微妙だな…


「奈緒ちゃん、何番だった?」


不安そうにくじを握った咲が駆け寄ってくる


「19。今とあんま変わんない」


「え…っ私、13番…」


13番を探すと隣の列の1番前の席だった


「うわぁ、めちゃくちゃ離れたね」


しかも、寄りにもよって1番前


まぁ、こればっかりは運だから仕方ない


「え!神原さん、13!?また隣じゃん!!」


今にも泣き出しそうな咲を(なぐさ)めていると、隣からでかい声が聞こえた


黒いマジックで『21』と書かれた紙を持った悠生が「よろしく」と笑っている


「本当!?良かった…こちらこそよろしくね」


途端、咲にも笑顔が戻った


なんか守ってあげたくなっちゃうんだよね、この笑顔


小柄で柔らかい雰囲気を(まと)った咲は、女のあたしから見てもめちゃくちゃ可愛い


「はいはい、いいからさっさと移動しろよ」


盛り上がっているふたりに樹が声をかけ、荷物を持って移動をする