「行ってきまーす」


リビングで忙しなく掃除をしているお母さんに声をかけて家を出る


学校に向かうのとは反対方向の電車に乗って一駅


いつもは学生と通勤中の人でいっぱいの車内も、休日の午後である今は親子連れや友人と遊びに行くであろう人たちがちらほらと座っているだけだ


席もかなり空いていたけど、どうせ一駅で降りるから、と思って、ドア付近に立っていると、ほんの五分もかからず電車が駅に着いた


そういえば、この駅は奈緒ちゃんたちの最寄り駅になるんだっけ


その駅からさらに10分ほど歩くと目的地が見えてくる


青葉総合病院


さすが、このあたりで一番大きな病院なだけあって、建物の大きさも出入りする人と車の数も桁違いだ


テスト前にお母さんに見せてもらったチラシを頼りにボランティア団体に連絡を取り、テストも無事に終わった週末の今日、初めて参加するためにここへ来た


あ、あの人たちかな?


「…おはようございます」


電話をした時に教えてもらった場所へ向かうと、すでに何人かの人がいて、恐る恐る声をかける