「じゃあ、あたしそろそろ部活行くね」


「うんっ頑張ってね!また明日」


部活に行くという奈緒ちゃんを見送って、私も帰り支度をし、学校を出る


駅へ向かう途中、見慣れた背中を見かけて駆け寄った


「樹くん?」


「神原さん」


隣に並んで声を掛けると、樹くんが驚いたように顔を上げる


「今帰るところ?今日は男バス部活ないんだね」


「うん、まぁそんなとこ」


考えてみると4人で話すことはよくあっても、こうして樹くんと2人きりで話すのは初めてだ


そう意識した途端、じわじわと緊張が顔を出す


「あ、のさ、悠生くん、体調どう?」


何か話さなくちゃと思って、ようやく出てきたのはそんな言葉


私の馬鹿…これはもう何回も聞いたよ…


これまでもはぐらかされてしまうのは分かっているのに、気になって何度も聞いてしまっていた


今回もきっと同じようにはぐらかされてしまうんだろうと思っていると


「ん、週明けには戻ってくると思う」


「え!?本当!?」


返ってきた予想外の答えに思わず大きく声を上げる