入学式から1ヶ月と少し
段々とクラスにも慣れてきて 友達も増えて 奈緒ちゃんは初めに言っていた通りバスケ部に入部し 私は手話部に入部した
私たちは相変わらず奈緒ちゃんと悠生くん、樹くんの4人で一緒にいることが多い
「咲!5限生物だよー急ご!」
お昼休みが終わり 移動教室の準備を済ませた奈緒ちゃんが教室の入口で私を呼ぶ
「ごめんごめん、おまたせっ」
2人で生物教室まで急ぐ
何とか始業には間に合ったみたい
「小林の…弟の方はいないのか?」
授業が始まり 先生が出欠をとりながら誰にともなく問い掛ける
「またサボりじゃないスか?」
「あーそういえば保健室行ってるの見た」
ぱらぱらと男子が発言するのを聞きながら 私はちらっと隣の席に目を向ける
悠生くんは案外不真面目だ
こうして授業に出ないこともよくあるし、遅刻や早退も多い
何か事情があるのかもしれないけど…
でも本人に聞いても「面倒だから」としか言われないし、樹くんや奈緒ちゃんもいつも曖昧にはぐらかしてしまう