慎くんと叔母さんがぎゅうぎゅう詰めになって後部座席へと乗り込むと、最後に残ったお姉ちゃんが、わたしを抱きしめた。
「……じゃあ、体調に気をつけてね」
お姉ちゃんの言葉に、わたしは苦笑した。
「それ、こっちのセリフだよ」
「確かに」
温もりを噛みしめるように、わたしもしっかりと抱きしめ返す。
「またね、愛花」
「……うん」
バイバイを言うのはなんだか寂しすぎて、頷くことしかできなかった。
お姉ちゃんはわたしから離れると、おーちゃんにもお別れをして、助手席に乗り込んだ。
バタン、とドアが閉められた代わりに、すぐに窓が開き、お姉ちゃんが顔を覗かせる。
エンジンがかかって、わたしとおーちゃんは後ずさった。
「じゃあね」
後ろの窓も開き、叔母さんが手を振ってくれる。
……車が、ゆっくりと動き出した。
わたしは思わず、手を振る力を強めた。
だんだんと離れて行くお姉ちゃんに、お腹の底から、どんどん寂しさがこみ上げてくる。
やがて、……車の姿が見えなくなるまで、わたしとおーちゃんは、手を振り続けていた。