「もし芽依が全教科平均点以上取れたら、一つだけ言うこと聞いてあげる」


「本当に!?」



コウくんが自分からそんなこと言うなんて珍しい。


頼みごとなんて言われても仕方なくやるか断るかのどちらかなのに。


「信じられないって顔してる」


「だって、ほんとに」



信じられないんだもん。


あのコウくんが、だよ?



「いらないならいいよ」


「ううん!ほしい!なんでもいいの?」


「……ん、まぁ、面倒くさいことじゃなかったらね」



コウくんのその基準が難しいんだよ。


でもわたし、ひとつコウくんとしてみたいことがあるんだ。


コウくんと"デート"がしてみたい。


今まで一緒に遊びに行くとしても小さい頃は近くの公園とかショッピングセンターくらい。


ちょっと遠くまで2人きりで遊びに行きたい。


幼なじみから抜け出せないわたしたちだけど、一度だけ。


幸せそうなカップルみたいに手を繋いで一緒に歩いたりとか……



「絶対だよ!約束だからね!」