失ってから知る大切なもの。それが顕著に表れていた本作品。心の傷に塩を塗るような痛みが何度も走りました。人間って常に学んで成長しているようで、実際は学習しない生物なんじゃないか、ってよく思います。無くなってからでは遅いこと。それは幼い時から耳蛸になるほど聞かされてきたお話のはずなのに、やらかしてしまう。痛い目を見ないと気づけない。でも、壊れた心の一部を抱えているからこそ、人は最終的に人、物、問わず、大切に扱う方法を知れるのかもしれないな、なんて感じました。一方的な奉仕や憧れや甘えでは、恋愛関係を築き続けることが出来ない。結局、赤の他人だから。後悔が早紀の時間をまた動かしてくれるよう切に願います。個人的には、夢物語にしない、シビアな終わり方がとても好きでした。どうしようもない現実と私の悔悟が美文に映っていて、心が泣いてくれたお陰で。今、爽快感に満ちています。素敵な作品をありがとうございました。