ソニアは、彼の口調をお屋敷勤めにふさわしく強制しようとしているのだが、やはり長い間使っていた言葉を急に修正するのは難しいようだ。
うるさく言うほどのことでもないのでそっとしておいているけれど、ソニアの眉間には皺が寄っている。
「そうなの? 殿下も考えを変えたということなのかしら」
「んでも、お嬢さん。あの人のところには、見かけない顔が出入りしてましたよ。俺も博士の助手ってことになってたんで、そいつらのあとは追えなかったんですけど。国境を越えて来ていた感じでした」
「国境……となると、ヘイルダート王国か、ザリロッド王国か……どちらに繋がっているにしても、殿下の動きには注意が必要と言うことね」
「ザリロッド王国だと思いますよ、お嬢さん。その……アンドレアス殿下の母親がどうこうって言ってたんで」
アンドレアスの母である前皇妃――ハルディール夫人――は、ザリロッド王国から嫁いできた。彼女は罪を犯して幽閉されているけれど、それを不満に思っているのだろう。
うるさく言うほどのことでもないのでそっとしておいているけれど、ソニアの眉間には皺が寄っている。
「そうなの? 殿下も考えを変えたということなのかしら」
「んでも、お嬢さん。あの人のところには、見かけない顔が出入りしてましたよ。俺も博士の助手ってことになってたんで、そいつらのあとは追えなかったんですけど。国境を越えて来ていた感じでした」
「国境……となると、ヘイルダート王国か、ザリロッド王国か……どちらに繋がっているにしても、殿下の動きには注意が必要と言うことね」
「ザリロッド王国だと思いますよ、お嬢さん。その……アンドレアス殿下の母親がどうこうって言ってたんで」
アンドレアスの母である前皇妃――ハルディール夫人――は、ザリロッド王国から嫁いできた。彼女は罪を犯して幽閉されているけれど、それを不満に思っているのだろう。