だが、博士の話によればレオンティーナ達がターナジアを去って何日かした頃。急にアンドレアスも畑に姿を見せるようになったのだという。

「殿下は、非常にまじめにやっておられましたよ」

 グラナック博士が微笑む。へぇと言いそうになって、慌てて口を閉じた。
 グラナック博士に、頑張っているところを見せれば何か得るものがあるのだろうか。

(皇都に戻りたいって口添えをお願いしたいとか……そういう話ではないわよね……)

 レオンティーナが考え込んでいるのを、グラナック博士は怪訝そうな顔で見ていた。

「ああ、あと、ロニー。ロニーはどうでしたか。お役に立ちました?」
「ええ、とても。よく気の付く青年で、非常に助かりました」

 ロニーならば安心だろうと思っていたが、きちんと役割は果たしたようだ。一通り報告を終え、博士は立ち上がった。

「では、久しぶりの皇都です。のんびりさせていただきましょう」

 にこりとして博士は立ち上がる。博士が立ち去るのを待っていたかのように、ロニーが入ってきた。

「お見送りしてきた、お嬢さん」
「お嬢様とお呼びしなさい! あと、言葉遣いは気をつけて!」