「考えすぎだと言われればそれまでですし、それを口にするのは、私の僭越でもあると思うのですが……」

 もしかしたら、皇宮内でハルディール夫人に繋がる者と連絡を取ろうとするかもしれない。考えればいろいろと出てくるわけだ。

「……そうだな。でも、逆にいい機会かもしれない。こちらで彼が誰と関わりを持ったか、それを調べればいいんだ」

 ターナジアにいれば見えなかったことが、皇宮では見えるかもしれない。なにより、アンドレアスの監視に避ける人数が違うのだ。
 

 レオンティーナは、アンドレアスに同行して皇都に戻って来たグラナック博士を自ら出迎えた。

「長い間、お疲れ様でした。博士の研究のおかげで、たくさんの人を助けることができます」
「なに、たいしたことではありませんよ。食糧事情の改善は、私の悲願でしたから。それに、アンドレアス殿下が手を貸してくださったので」

 正直なところ、それは少し疑わしいと思っていた。アンドレアスが、こんな地味な仕事に手をかすとは思えなかった。