(前は……ご自分の能力を生かす場所を見つけることができなかったのね)

 今のレオンティーナに、未来をどこまで変えることができるのかわからない。
 だが、この変化は、はるか遠い道のりを歩くための第一歩であるようにも思えた。
 

 ◇ ◇ ◇

 

 ギルベルトの訪問を受けた翌日、レオンティーナはヴィルヘルムと面会の許可を取った。ロニーからも報告が届いたのだ。

「ギルベルトが、君のところに行ったんだって?」
「はい。お花をいただきました――ええと、ヘイルダート王国の兵士が、傷の治療に使っていた薬草だそうです」

 レオンティーナと、クラリサが似ているとギルベルトが言っていたとヴィルヘルムに話したら、彼は笑うだろうか。

「私に似てるともおっしゃっていました。まっすぐに立っているところが」

 とたん、ヴィルヘルムは、面白くなさそうな顔になる。

「あ――、似ていません、よね」

 やっぱり、花に似ているなんて言い出すんじゃなかった。表情には出さないようにしていたけれど、しゅんとしてしまったのを気づかれたらしい。