ギルベルトのそのレオンティーナに対する評価。それはそれで、レオンティーナの胸を温かくした。

「ありがとうございます、ギルベルト様。クラリサという植物については知りませんが……アルニム博士にお願いして、我が国でも使えるかどうか考えてみますね」
「そういうところ。すぐに、目の前の状況をいい方向に変えようとするのが君のいいところ。でもその鉢植えは大事にしてもらえると嬉しいな」
「もちろん、この鉢植えはお渡ししません! 私の……私のお部屋に、大切に飾ります」

 クラリサの苗なり種なりを入手することは可能だろう。ニナ草の栽培方法を確立したアルニム博士は、今や皇宮で新しい薬の研究開発を指揮する立場についている。
 彼に話せば、有効に活用してもらえるはずだ。

「そうそう――今日は、君にもうひとつ、話がしたかったんだ」
「……うかがいます」

 鉢植えに埋めるようにしていた顔を上げ、鉢はそっとテーブルに置いた。ソファの上で居住まいを正し、ギルベルトの話を聞く体勢を取る。

「僕は、宰(さい)相(しょう)の地位を目指そうと思う」