今まで、そんな風に見られているとは思わなかったから――耳がじわりと熱くなった。こんな可憐な花に似ているだなんて。
 前世でも、現世でも。
 整っている反面、きつい顔立ちなのは自覚していたから、可憐と言われなくても、何の不満もなかったけれどレオンティーナを可憐だと言った人はいなかった。

「この花は、見た目は弱そうだけれど、とても強いんだ。茎が強いのかな? どれだけ踏まれても、翌朝にはまっすぐに立っているし……強風で周囲の草がなぎ倒されても、すぐに立ち直るんだって。君に似ていると思わない?」
「私に似ていますか?」
「うん。君はとても弱そうに見える――それなのに、ここには、とても頑固で熱い何かがあるよね。だから、似ていると思ったんだ」

 ギルベルトは、自分の心臓のあたりを押さえる。大切な宝物がそこにあるかのようにそっと。

「……そうでしょうか」

 どうやら、ギルベルトの目には、レオンティーナが可憐に見えていたというわけではなさそうだ。この花の強さとレオンティーナの内面の強さが似ていると言いたかったようだ。

(私が強く見えるとおっしゃるのなら)