今日は皇宮に赴いての仕事はなく、ソニアの育った養護施設への視察を終えたあとは、のんびりと過ごす予定だった。

「……レオンティーナ様、よろしいですか? お客様がおみえです」
「あら、そうなの? すぐ行くわ」
「お召し替えを。お越しになったのは、ギルベルト殿下です」

 ギルベルトは、今朝皇宮に戻ったばかりのはずだ。
 いきなりレオンティーナのところを訪れるとは、緊急事態でも発生したのだろうか。
 慌てて身支度を調え、ギルベルトの待つ客間に向かう。

「……やあ、レオンティーナ」
「お久しぶりです、殿下」

 ギルベルトと離れていたのは数か月。けれど、その間に、彼の身には大きな変化が起きていたようだった。
 ギルベルトがまぶしく見えて、レオンティーナは目を細める。
 出発していった時より、背は明らかに高くなっていた。外で過ごした時間が長くなったためか、肌は日に焼けている。

「どうかした?」

 声も、出発前よりいくぶん低くなっている。