だが、アーシア王国と協調路線をとるようになったのであれば、またもう一歩滅亡からは遠のいたと言えるのではないだろうか。

「俺にはわからない話になりそうだな。面会の予定が入っているから、俺はもう行くよ。ルイーザ、あまり贅沢はするなよ」
「わかっているわ、お兄様」
「――レオンティーナ、君も、目を光らせておいてくれ。ルイーザが、どこまで自由にやるか俺にはわからないから」
「かしこまりました」

 ヴィルヘルムが出ていくと、ルイーザはさっそく頬を膨らませた。

「お兄様ってば、ひどいわ! 私が、わがままみたいな言い方をするんだもの」
「ルイーザ様は、わがままではないでしょう」

 奔放に振る舞っているように見えるルイーザではあるが、彼女の中の守らねばならない線というのはきっちり守っている。
 彼女が遠くに行ってしまうというのは、寂しい。

「でも、いいわ。私は、やりたいことをやっているもの」

 ルイーザも一瞬だけ表情を曇られたけれど、すぐに明るい表情になった。この切り替えの早さも、彼女の魅力のひとつだ。

「――ねえ、レオンティーナ。あなたは、これからどうするの?」