「私が? ええ、もちろんですとも」

 ルイーザが嫁いでしまうのは寂しいけれど、彼女の結婚に協力できるのは喜ばしい。

「三日後に、デザイナーと打ち合わせをするの。それから、ドレスの生地も選ばなくてはね」
「……光栄です」

 ルイーザの母であるケルスティンは、いまは皇妃という地位についている。自分の仕事で忙しく、ルイーザの準備に最初から最後まで手を貸すわけにはいかないそうだ。

「レオンティーナに手を貸してもらって、いくつか候補を決めるの。お母様と相談して最終的な結論を出すわ」

 そう口にするルイーザに、国を背負って嫁ぐのだという気負った様子は一切見受けられなかった。

(……本当に、喜んで嫁がれるのね)

 ルイーザが、自分の気持ちを大切にできるのならば、それでいい。
 けれど――と、不意に自分の胸に手を当てた。

(私は、どうしたいのかしら……)

 自分の幸せとなると、一歩引いてしまうような気がする。
 これまでずっと、どうにか国を滅亡から救うことはできないかと考えてきた。