レオンティーナも、調理方法までは考えていなかった。マレイモは蒸してもおいしいし、ゆででスープの具にしてもいい。レオンティーナが知っているのはその程度。

「マレイモと鶏肉、牛乳を煮込んだものは、パンに非常によく合うとか言ってたな。なんでも、昔の宮廷料理だったそうだ」
「……そんなことまで!」

 ギルベルトは、意外なところでも才能を発揮しているようだ。まさか、料理にまで詳しいとは想像もしていなかった。

「では、私達は我が国の勝利をお祈りしてお待ちするしかないわね」

 自分の道を決めたルイーザは、満足そうだ。レオンティーナに向ける目も、いつになく優しい。

「ルイーザ様のお輿(こし)入れはいつですか?」
「今から花嫁衣裳や、嫁入り道具を準備するから、一年ってところね。先方も、王妃を迎えるための準備がいろいろとあるでしょうし」

 ルイーザの頭の中は、もう輿入れに向けての準備に向かっているようだ。
 指折りながら、真珠はどこ産がいいだの、刺繍は、ルイーザ贔屓(びいき)の職人に頼みたいだのと口早に願望を口にし始める。

「レオンティーナ、あなたも手を貸してくれる?」