その日のお茶会では、最初からアイザックとバイロンが同席していた。

「なかなかいい見識だ。女性の視点というのは新鮮なものだな」

感心したように言うのは、アイザックだ。いつもならケネスが側近として傍についているはずだが、今日はいなかった。
聞くと、平民議員と貴族議員のいざこざが起こり、仲裁しに行っているらしい。

「だろう。クロエ嬢は有用な人材だよ。他にも、以前もらった意見にこういったものがある。儀式の予算削減案だ」

「ふむ。そうですね。たしかにこの辺りは重複している。慣例だからと気にしていなかったが、無駄だと言われればその通りだ」

アイザックはもともと、女の意見だからと無下にするようなタイプではない。
ケネスが一番の親友として大事にするので、対抗心からいつも厳しく当たってしまうが、彼自身は柔軟な考えの持ち主だとクロエも認めていた。

「今、クロエ嬢に、孤児院運営のプランニングをしてもらっているんだ」

「孤児院ですか?」

「ああ。国民は国の大事な財産だろう。無駄に転がしておくのは惜しい。有能な人材を引き上げれるシステムを作りたい」

「それを、クロエ嬢に?」

「ああ、なかなかの見識の持ち主だよ。私はできると思う」

バイロンは今日も楽しそうだ。発言の端々から認められていると感じられ、そのたびにクロエの胸が変に疼く。