「途中でもいいから、その案をまとめて持っておいで。改善点はその時に。ああ、今度はアイザックにも同席してもらおう。ぜひ意見を聞いてみたいからね」
王太子に見せるとなれば、生半可なものは作れない。
それから二週間、クロエは学術院に通い、イートン伯爵領を視察に行ったり、途中にある他の貴族の治める領地を見学したりと活動的に動き回った。
これまでとは違う行動に、眉を顰めたのはケネスだ。
「最近、どうしたんだい? クロエ」
「お兄様」
「今まで、ひとりで領地へ戻ったことなどないだろう。母上が心配なさっているよ。一体どうしたんだい?」
これまで、クロエはあまり王都から出たことが無かった。
イートン伯爵領でさえ、家族と共に年に一度帰る程度のものだったのだ。
だがこの二週間、クロエは精力的に移動し、視察を繰り返した。
目的を持っていろいろなものを眺めれば、これまで見ていたのとは違う側面も見えてくる。歴史書に一文で書かれたことだって、多くの事象が絡まり合って起こったことなのだと、実感させられた。クロエにとっては楽しい視察旅行だっただけに、咎められるとは思っていなかった。
「別におかしなことはしてないわ。調べたいことがあって。それで」
「孤児院や修道院にも顔を出していたと聞いた。……母上はね、おまえが修道女になろうとしているのではないかと心配している。そこまで嫌なら結婚などしなくてもいいから」
どうやら、クロエが出家するのではということを危惧していたらしい。あまりにも予想外だったのでクロエは逆に笑ってしまった。
王太子に見せるとなれば、生半可なものは作れない。
それから二週間、クロエは学術院に通い、イートン伯爵領を視察に行ったり、途中にある他の貴族の治める領地を見学したりと活動的に動き回った。
これまでとは違う行動に、眉を顰めたのはケネスだ。
「最近、どうしたんだい? クロエ」
「お兄様」
「今まで、ひとりで領地へ戻ったことなどないだろう。母上が心配なさっているよ。一体どうしたんだい?」
これまで、クロエはあまり王都から出たことが無かった。
イートン伯爵領でさえ、家族と共に年に一度帰る程度のものだったのだ。
だがこの二週間、クロエは精力的に移動し、視察を繰り返した。
目的を持っていろいろなものを眺めれば、これまで見ていたのとは違う側面も見えてくる。歴史書に一文で書かれたことだって、多くの事象が絡まり合って起こったことなのだと、実感させられた。クロエにとっては楽しい視察旅行だっただけに、咎められるとは思っていなかった。
「別におかしなことはしてないわ。調べたいことがあって。それで」
「孤児院や修道院にも顔を出していたと聞いた。……母上はね、おまえが修道女になろうとしているのではないかと心配している。そこまで嫌なら結婚などしなくてもいいから」
どうやら、クロエが出家するのではということを危惧していたらしい。あまりにも予想外だったのでクロエは逆に笑ってしまった。