「そう言えば、由依って好きな人いんの?」


唐突に聞いたのは、望。


ふざけてるように見えて、目は真剣だった。


「あ、え、えっと……。いないよ」


え、絶対いる。


「今のは、いる人の反応だろ」


「……」


あ、由依が黙秘した。


「なあ、誰?」


望、なんであんなに突っ込むんだろう?


「言うわけないでしょ!」


顔を真っ赤にして言う様子は、まるであなたですって言ってるみたいだった。


「なる、あの2人って」


ゆうも察したらしい。


「両想い、かな?」


ゆうにしか聞こえない声で言うと、顔を見合わせて笑った。