その言葉に彼は顔色一つ変えずににこりと微笑んだ。 意識をしているのが自分だけの様な気がして、少しだけ恥ずかしかった。

まさか私がこの美しい男性とは似ても似つかないだろう。


智樹さんは自分の買い物に付き合ってくれ、と言った。
だけどその後も自分の買い物はする気はないらしく、私は様々なお店に連れまわされた。

そして着せ替え人形のような事をさせられた。

どこに行っても顔パスで、個室に通される。店員さんは誰もが上機嫌でにこにこしていて、私へと服や靴の説明をし始めた。

その間も智樹さんは「まりあにはこれが似合う」「この色は合わない」と私以上に真剣に悩んでいた。


あれもこれもと値段も見ずに智樹さんは洋服や靴を包ませて

シルエットのとても美しい淡い色の水色のレースのワンピースを着せた。 同じ色のベロアのパンプスは彼が履かせてくれて、こちらを見上げ優しく笑った。

「お似合いですねぇ」と店員の声が響く。 お店の姿見に映った私と智樹さんは、一見釣り合いの取れる男女には、見えた。

さっきまでは隣を歩くのにも躊躇してしまう程、世界の違う人だと思っていたから。