「驚いた…」

私の姿を見た智樹さんはそれだけ言うと、言葉を失った。

いつも笑顔を絶やさない智樹さんの顔が一瞬曇ったように見えたのは、気のせいだろうか。
けれど彼は直ぐに笑顔を取り繕った。

「まりあ、すっごく綺麗だよ。 いや…元々可愛い子だとは思ってたけれど、こんなに綺麗になるなんて」

その言葉に思わず顔を伏せたくなった。

そこに芽生えた気持ちは、とても不思議なもの。 さっきまで店長の彼に’綺麗だ’と言われても何も感じなかったのに

智樹さんが真っ直ぐな瞳をして真剣に’綺麗だ’と言うからどこかで動揺していた。
恥ずかしくって、ちょっぴりくすぐったい気持ち。 この気持ちは一体何なんだろうか。

「あの、店長さんの腕が良くって」

「そんな事ないよぉー。僕は素材ありきだから、まりあちゃんの素材が良いんだよぉ。
それにしても横屋敷様、こんなお綺麗な子を連れてきちゃって。もしかして彼女さんですかぁ?
と、いうか誰かに似ているなぁと思ったら…まりあちゃんちょっぴり雰囲気が智樹さんに似ているよね。」