俺とおふくろを苦しめ続け、おふくろを死に追いやった借金を俺は全額返済した。
 
返済したらおふくろとゆっくりと過ごすはずだったのに

約束していた温泉に行くはずだったのに

俺の願いは叶わなかった

約束は果たせなかった

叶えられる時には、おふくろはもう俺の傍にはいなかった






俺は狂うように、酒を飲んだ




借金を返したら辞めるはずだったホストの世界で

酒に救いを求め

ホストの世界に溺ぼれた





仕事をしている時だけは



一瞬でも救われていた…






おふくろのために無我夢中で金を稼いでいた自分を思い出し、おふくろがまだ生きているように錯覚することができた



金を稼げばおふくろと普通の生活ができると願って疑わなかったころのように





だから朝になるのが怖かった

現実だけが俺を待っているんだ



朝の日差しが眼に入らないように、恐怖が襲ってこないように、俺は酒を飲み続けた
 


おふくろがいない家にも帰らず、客の家を泊まり歩いてはセックスをし、セックスが終われば酒を飲み

 










死んでも良いと思った







おふくろがいない世界でどうやって生きていけば言いのか分からなかった





俺は救われなかった



俺を救ってくれる場所なんてどこにもなかった