頑固として断り続けた俺に、おじさんはおふくろの為にも、俺の為にも保険金で借金を返した方が良いと俺を説得し続けた。


「早く借金を返さないと利子が増えて大変なことにある」


「智也君の生活にも支障がでる」


独りになった俺を心配してくれるおじさんの気持ちも分かった。


だから俺は今までのこと正直に話した。




ホストをやってお金を貯めていたという事。


おふくろには心配をかけないように内緒にしていたという事。


借金返済額が全て貯まったという事。



おじさんは俺の話を聞いて俺を抱きしめた。


「智也君……頑張ったんだなぁ……一人で頑張ったんだなぁ……立派だよ……お母さんもきっと喜んでるよ……」
 

俺はおじさんの胸の中で、おふくろが死んでから初めて涙を流した。



俺はおじさんが言ってくれた言葉を、おふくろに言って欲しかった。




「頑張ったね」






言って欲しかった。




「ありがとうね」
 





笑って欲しかった。




ただ……
 





おふくろの喜ぶ顔が見たかっただけなんだ……





「智也君が貯めたお金で借金は返そう。お母さんが残してくれたお金は、これから何かあったときにとっておきなさい……」