オーナーの提案で、俺はバースデー売り上げ目標一千万を目指し、顧客全員に営業をした。

半年も過ぎるとこの世界独特の営業トークも、恥ずかしげもなく言えてしまう。

拓真も自分の客に営業してくれていたようで、バースデー当日はたくさんの俺を祝う客で賑わっていた。

バースデー当日の俺はあり得ないくらい、テンションが高かったように思う。

「智也、おめでとう♪そんなにテンション高い智也始めて見たよ。笑わない智也がずっと笑顔だし。誕生日だから智也も嬉しいんだね♪」
 
来る客来る客、みな揃ってそう言った。

バースデーと称して、客が競って高い酒を注文していく中で、俺は確信していた。


これで借金が返済できる
 
普通の生活に戻れる

おふくろが苦労することもない。



そう思うと、俺のテンションは最高潮に上がった。



顔だって笑顔になるのは当たり前だ。